日医IT化宣言 より引用
平成13年11月20日
社団法人 日本医師会

ここにORCAの原点がある

日本医師会は、医療現場のIT(情報技術)化を進めるため、土台となるネットワークづくりを行うことを宣言します。まず各医療現場に標準化されたオンライン診療レセプトシステムを導入し、互換性のある医療情報をやりとりできるようにする計画(ORCA、Online Receipt Computer Advantage)を推進します。この計画のために日医が開発したプログラムやデータベースはすべて無償で公開されます。医療現場の事務作業の効率化を図り、コストを軽減させると同時に、誰もが自由に利用できる開放的なネットワークを形成し、国民に高度で良質な医療を提供することをめざします。

「まず」というところが重要である

医は仁術であるばかりでなく、日々進化する「技術」系であり、またIT時代を迎えて貴重な「情報」系にもなっています。しかしながらわが国の医療現場では、高度な医療機器に見合う情報系の整備が遅れています。医療機関の8割は毎月の診療報酬を請求するための専用コンピューター(通称レセコン)を導入していますが、他の病院、他の医療機器とはほとんど互換性がなく、データのやりとりもできない「ネットワーク不在」の状態です。

医療の世界では標準化とネットワーク化が遅れているのである

これはレセプト(診療報酬明細書)の処理を紙の洪水にする無駄ばかりでなく、個々の医療情報の流通を滞らせることによって、医療現場の非効率を招いたり、良質な医療の浸透を妨げかねません。このため日医は、IT時代の国民皆保険を支えるインフラストラクチャー(基盤)作りに自ら乗り出すことが必要と考えました。

皆保険制度を実現させたのも日本医師会であると言われている

インフラとなる医療情報の標準化やネットワークづくりがこれまで進まなかったのは、情報を独占する特殊法人を抱えた行政側が消極的で、シェア争いや営利追求を優先せざるを得ないメーカーも自社システムを閉鎖的にしてきたなどの事情があったからです。このため日医のORCAは、医療情報交換の標準化を効率的に進めることを狙いとして、開発したプログラムや医療データベースを万人に無償で公開することにしました。

医療情報システムのオープンソース宣言

プログラムの公開(オープンソース)は、日医とユーザーが結ぶ使用許諾契約に沿って行なわれ、基本システムが自律的に改良され進化していくとともに、周辺にそれを応用したベンチャービジネスが誕生する素地もできます。また多くのプログラマーが参加するため、否応なくシステムのセキュリティーも高まり、特定企業に独占される恐れがなくなります。

特定企業独占禁止

もちろん、ユーザーによるプログラムの改良を認めるとはいっても、医薬品の併用禁止品目など人の生命そのものにかかわるデータベースについては、改変を禁ずるなどのガードを施してあります。こうした措置により、単に診療報酬請求などの事務処理を合理化するだけでなく、将来は懸案である「電子カルテ」開発などを促すことが期待できます。

電子カルテへの期待

公共システムへのオープンソース制採用はフランスをはじめ幾つかの国にでも検討されていますが、その必要性は公共性の高い日本の医療においてはなおさらです。従来のような「先導者なきシステム普及」よりも、医療のプロ集団である日医が先頭に立ち、公共財としての医の情報系ネットワークづくりへ向けてイニシアチブを取る決意をいたしました。

前例のない360万ステップの世界最大と言われるオープンソースによって何が起こるのであろうか?
日医IT宣言は日々読み返すべし!
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